20210615

言葉遣いのメモ:「あなたは誤解している」

 Aさんが言う

「Bさん、あなたは誤解している。誤解を解きたい。説明をきいて欲しい。」

という言葉の、なんと傲慢で、自分勝手なことか。


*ある明確な「事実」に対して、「間違った理解や解釈をすること」を「誤解」という、とすると


Aさんは、「自分Aが正しい」という前提で発言をしている。「Aさん自身は『事実』を『間違わずにきちんと把握している』と思いこんでいる。」しかし本当にAさんは「事実」を正確に把握しているのだろうか?Aさんはなぜ、「Aは事実を誤解などしていない」と言い切れるのか。


Aさんは「Bさんの解釈は間違っている」と述べている。「Aさんは、『Bさんが事実をどのように解釈しているのか』を『間違わずに理解している』」という前提で発言をしているが、これも思い込んでいるだけかもしれない。「Bさんの考え方」を理解していると、Aさんはどんな根拠で自信を持って言っているのか?


「Bさん、あなたは誤解している。誤解を解きたい。説明をきいて欲しい。」というAさんの発言をひらたく言い直すと、「私Aは悪くない。Bが間違えている。説明を聞け。」となる。Aは「誤解もすることなく冷静に事実を把握できる存在」として、A自身を取り扱っている。なんとも上から目線。傲慢に、Bを見下ろしている発言。権力のある人、強引に物事を推し進める人Aが自信たっぷりに発言するのを聞くと、辟易とする。


「あぁ私は『誤解』をしていた。」と気が付くことができるのは、誤解をしていた本人だけではないのか。


(政治家がよく「誤解」という言葉を使いますよね。政治家自身は間違ってない、という訴えなのでしょう…)


<ケース:1>

Bは、とあるプロジェクトから降りることを決めた。プロジェクト概要と、降りる理由についてはここでは省略する。

Bは、プロジェクトを降りようと思っている旨を、プロジェクトを取り仕切っているAに伝えることにした。BはAに、話をする時間をとってもらいたいと申し出た。今後、別件で一緒になる可能性もゼロではないAとの関係性を悪くしないためにも、なぜプロジェクトから降りることにしたのかの理由をいくつか説明し納得してもらった上でプロジェクトから離れようと考えたのだ。日時を決めて電話で話すこととなった。


電話がつながり次第、Aは一方的に話はじめた。Bが話をしたいと言ってかけた電話であるのにもかかわらず。Aがお構いなしに話しつづけるのをBは辛抱強く聞くこととなった。一方的であり、とてもコミュニケーションとは言えない。AとBの関係性がよく分かるエピソードだ。Bがプロジェクトを降りる理由がまたひとつ増えた。


Aが言いたいことを言い切ったようで、会話が途切れ静寂が訪れた。Aが話した内容についてBは触れないこととした。(プロジェクトを降りるBには、いまAが話した内容について深める必要がなかった。)本題に入りたいBは一呼吸おいてから切り出した。「今回お時間をいただきましたのは、お話したいことがあるからです。このプロジェクトを続けるべきかどうかしばらく迷っていたのですが、降りようかと‥」Bが話している言葉をAが遮った。「いやいやいや、どうして。それは困るよ。」そうして、件の発言につながる。


A:「Bさん、あなたは誤解している。誤解を解きたい。説明をきいて欲しい。」

Bは思った。(誤解も何も‥私Bはまだ、何の説明もしていないではないか‥。Bが何を考えているか知りもしないで何を言う)


Aはまた一方的に自身の主張をし続けた。「Aは間違っていない。Bが間違っている。」という内容を繰り返し。結局、「Bが、プロジェクトを降りようと思った複数の理由」については共有される場面がつくられることはなかった。「降りることにして正解だとBが確信を持つことができた」と言う意味では収穫があったということができる。今回の件に限らず、今後もAとの案件は避けた方が良さそうだな、とBは心の中で思った。

(後日、AさんからBさんに「誤解を解きたいからBさんの家まで行く」という連絡が入った。Bさんにとったらとんでもなく迷惑な話だ。これ以上、貴重な時間を割きたくない。誰が、Aさんの一方的な話を聞きたいと思うのか。家まで押しかけられたらたまらない。Aさんは終始Aさんの都合だけで動いている。「私Aは悪くない。Bが間違えている。説明を聞け。」Bさんにとってのメリットは何もない。もちろんBさんは断った。)


誤解、とは何だろう。誤解という、言葉の使い方について人生で一度くらいは考えてみてもいいんじゃないかな。というメモ





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