20081010

Art/旅の記憶.3

アートの定義って人によって色々で、いつの時代も論争の的だったりするけど  とりあえず、私は、この日記では、Natureの対義語としてタイトルにつかってます。  Art=人間が、なんらかの意識をしてつくりだしたもの。  ま。この辺あまり突っ込まず、読んでいってくださいな。      Art(⇔Nature) 

土門拳記念館 谷口吉生設計


圧倒的に綺麗だった。
空間のボリューム感が、全体から細部までそれぞれのスケール感とバランスが
裏山の斜面との関係が、湖面と床のつながりが、明るさと暗さの演出が絶妙。
私にはこんなの、ようつくれんわ…。
完全に閉じられたハコの中にいるはずなのに、
実は豊田市美術館を好きになれない私は、
谷口吉生って名前を聞くだけでなんとなくさけてたんだけど。
土門拳記念館については、雑誌で図面をみて、設計趣旨を読んだときから、
ちょっと惹かれてたんだ。
主張するのではなくて、なるべく存在と個性を消した建築物を
周りの環境を生かす為に、必要な位置に必要なだけ配置した、のだとか。
その考え方が、すごく好きだなぁって。
実際は、なかなか存在感のある建築だったけど、でも、
「必要なところに必要なものがある」かんじが気持ちよかった。

湖と山のはざまに

水面と床がつながってるみたい。
今、中にいるんだっけ?外にいるんだっけ?

こりゃきもちいいわ。






建具の格子や、欄間の彫り、雨戸の桟等等、幾重にも透かし重なる陰に溜息


秋田県。豪農(地主)の古い家。
雪深い地域ならではのつくりなのだろう。
縁側のまわりぐるりと囲う雨戸を閉じれば室内になる

陰影。今の時代でもじゅうぶん通用するセンスだと思う。

土間。室内だけど、外。
ふみしめられた堅い土は、冬の間の作業場であるだけでなく
下人たちの、暮らす場所、でもある。
同じ屋根の下にあれど、格子の陰影が美しいあの部屋とは別世界
畳の上には、あがることができない。





古いものをただ保存するのではなく使っていくという選択。
古くて不便なところに目をつぶって我慢して使うのでもなく
きちんと快適にすごせるように補修保全する。
古材に新材を合わせて補強するのだが、その合わせ方がすごく自然で驚く。
エアコンのダクトさえ、昔からある屋根の梁のように見える。
コンクリートのベタ基礎で床下に小さな空間が一層加えられており断熱をはかる。
機密性を高めることで、暖房費などのランニングコストを下げる。
きちんと、省エネ住宅。古民家を残すことと省エネの両立が可能とは。
これからの家の可能性が色々ひろがっていく。
これは、山形県の、あつさんの仕事だ。





宮沢賢治記念館を訪ねる。
鋳鉄のみみずくがかわいい。
賢治の描いたイメージ、賢治の筆跡をそのまま残して看板に。
庭全体の設計も、賢治のメモからおこしたのだそう。

賢治のメモ…なにがなんだか、なふにゃふにゃのラフな絵から想像して
きちんと図面にかけあげて、かたちにつくり上げるのって、難しそう。
…でも、おもしろそう!。


山いっこ丸ごと記念館にするという企画者であり設計者本人にあんないしてもらった。
あれこれ苦労話や、誕生秘話を聞きながらめぐるのはたのしい。



あちこちに点在するモザイク画がかっこいい。
この白×黒のモザイクは、タイルでなく、すべて石。
賢治といえば石。

そして賢治の小説のなかに広がる世界はよく、色とりどりできらきらしているんだよね。







ひとはつくりもするし壊しもする。
もし地球の外側から人間の行動を観察している人がいるとしたら
「バカだな、あいつら何やってんの?自分でつくっといて壊してさ」っていうに違いない。
ほんとバカだ。
でも。人ってすごいな、とおもうのは、
壊しても、壊されても、またつくりあげることだ。


人って、すごい。




陶芸家さん。
つちのやわらかさ を、焼いた後にも感じさせる器をつくる人。
「ここの、ほらこの、ここの陰の落ち方、このライン、最高だね」
自分のつくったものに、自信もてるっていい。羨ましい。



人のつくったもの、Art。色々見てきたけど、一番はコレかな。
宮島の紅葉谷。
大きな土砂災害があった後、河川の整備を行った。大掛かりな土木工事。
観光地であることもあり、特に、土砂災害を再発させてはならないのは必須条件
で、あるにもかかわらず、これ。人が工事した跡なんて、ぱっと見、見当たらない。
コンクリートを見せないように、もともと生えている樹をきらないように
人の手を消して消して整備された川。
変に悪目立ちしない、我を出しすぎない、その土地のちからを引っ張り出す黒子に徹するような
“庭園風工事”

こんな仕事ができるような人になりたい。




20081009

Nature/旅の記憶.2



 牛渡川と梅花藻 山形県遊佐町




すごくきれいな川があるから連れて行きたい と石垣家のパパさん。
言い出しておいて道に迷って(自分の町なのに!)天然なパパさん。
「あれ、ここじゃない。かぁ。いや。うーーん。っ。こっち…でもない。」
真剣に頭を抱えて困ってる姿を見て、内心
いいのに、川ならたくさんあるし、どこもとても綺麗だったよ。と思っていた。
だって、小さなため息を何度も何度もつきながら、ちょっと泣きそうなんだもの。可愛い人だ。


遊佐町は広大な稲作地帯、庄内平野の片隅に位置する町で、水脈に恵まれている。
日向川、月向川はじめ多くの川が平野を走る。
鳥海山から湧き出した小さな小川もいつしか大きくなり、あちこちに滝をつくる。
「そうか、そうそう、ここここ。」
結局奥さんに来てもらって、先導されながら行き着いたのは鮭の養殖場。
そこから少し森の方へ歩く。空気が少し冷たい。


目的地にたどり着いて、にこにこ満面の笑みのおじさんの顔を見てると
なにかもう、それだけでちょっと嬉しい。よかったなぁ、ちゃんと着けて。
呑気にそんなことを思いながら歩みを進めると小さな小さな川があった。
確かにこの川は、見つけるのに苦労する。
川幅もせまく、水深も浅く、ほんとに小さな川。
水が、とてもとても綺麗だった。確かに他の川とは違う。
透明度の高い、というだけでは説明のつかない美しさ
まるで磨き上げられた水晶のような、いや純度の高い硝子に丁寧な切子細工を施したかのような。
水底に生えているのは梅花藻。梅の季節に、梅のような花をつけるのだという。
この川の底一面に白い梅の花の咲き揺れる様を想像すると、ぞわっと鳥肌が立つ。
私の妄想癖は、こういうときに実によく働く。まぁ、たまには役に立つってもの。
梅花藻が絶えず水中にたくさんの酸素をおくりこんでいる。
だからこんなに気持ちのいい川なのか。
静かな水面のあちこちにゆるやかな波紋がひろがる。川のそこかしこから水が湧き上がっているのだ。


牛渡川の傍で縄文の遺跡の発掘作業が進んでいるそうだ。
認可されれば、三内丸山遺跡よりも古い、日本で最古の住居跡となる。
美しい水の湧く美しい川のほとりで生活していたであろう古の人々に想いを馳せる。
水のあるところに人は暮らす。
水は命の拠りどころなんだな。






                   □□□







 青森県 白神山地のブナ林


ブナの林には格別のおもいいれがある。
以前長野県の北端のブナ林を歩いたときのこと、
ブナ林を愛してやまないおにぃさんが雨の日のブナ林の景色についてうっとりと語ってくれた。
その日はあいにくの晴れ。見ることのできなかった景色に捉えられた私は
銅版画にしてみたり、水彩で描いてみたりしているうちに
雨降りのブナ林は想像の中で勝手にどんどん膨らんでいった。
いつかきっと、雨降りのブナ林を歩こう。


日本屈指の広さを誇るブナの原生林、白神山地は憧れの地のひとつ。
十二湖駅を降りると小雨が降っていた。雨!
カッパを着込み、はやる気持ちを抑えてアスファルトの道を歩く。
舗装された道から、ふかふかの湿った土、木々の間の山道にかわるとそれだけでうきうき。
気がついたら雨がやんでいて、すこしがったりしたんだけど、おかげでこんな景色に出会えました。

静かな湖面は鏡のようにまわりの景色を映しこんでいて。
周りに誰も人のいない森の中、息をひそめて見つめていると
エッシャーのスリーワールドに迷い込んだかのような不思議な感覚に襲われた。


十二湖駅近くのエリアには大小様々な湖が点在している。
水の色も、雰囲気も、それぞれまったく違うのがおもしろい。


自分の立ち位置によって、水面に反射する樹が見えたり、底に沈む倒木が見えたり
どちらが“ほんとう”なのか、倒錯した世界を愉しむ


さて、一番有名なのは“青池”という池だ。
どうしてこんな色になったのか不思議なほど、真っ青。


一番不思議で、一番神秘的なはずの湖に、一番がっかりした。
なぜだろう、この違和感。屋久島の縄文杉の前にたったときに感じたのとと同じような、脱力感。
他の湖、奥のほうでは誰にも会わなかったのに、ここには人がいっぱいだ。
観光ガイドブックに記載され、駅構内の大きなポスターで人を誘う青池は
間近までバスが来ており徒歩5分ほどで来られるようになっている。
おおきな駐車場もあり、貸切の大型バスが何台もならんでいた。
多くの人が同時に干渉できるようにとつくられたウッドデッキでは
カメラのフラッシュが止むことなく瞬いている。
「後ろの方がつまっておりますので、立ち止まらずにお進み下さい」
とどこかのバスツアーのガイドさんが声をはりあげている。
ふむ。
多くの人が訪れられるように整備することは、悪いことだと言うことはできない。
おかげで体の弱い人や、歩くのがしんどいお年よりもこの景色を見ることができる。
アウトドアに慣れた人に限定せずとも、もっと広くたくさんの人が自然に親しむことは
より多くの人がわがことの様に身近に自然を感じ大切にするキッカケにいなる。
意味のあることだと思う。
でも、どうなんだろう。
青池だけ訪れて、奥の池に巡らなかった人はがっかりしてしまうんじゃないだろうか。
「ふぅん。そうか、ほんとに青いね。不思議だね」
多くの人が口にする通り一辺倒な感想からは感動が伺えないのは気のせいだろうか。
それともただ私が一人違和感を感じてるだけで、他の人はそんなことないのかな。
確かに人がいっぱいいる、うるさい、人工的なデッキが視界に入る…
だからといって、池は池だ。山奥にひっそりとある池と変わりはないはずなのに
すっと感動がこころに届かないのは、私の感受性の問題なのだろうか。
そんなことをぶつぶつ考えながら帰路にむかう。
帰りは行きとは違う道をあるこう。


途中、切り立った岩肌に出会った。
カラカラカラと音を立てて小石が落ちていった。底まではかなりの高さだ。
日本キャニオンと名づけられたその白い岩は脆そうで、登るのはとても難しそうだ。
だれか岩肌にとりついている人がいないものかと目をこらしたけれど誰もいないようだった。
てくてく行くと、とむせかえるほどの甘いにおいと、蜜を集める蜂の羽音。
日に照らされた地面からふわっと生暖かい湿気が立ち上る。


道端の小さな草花の群生。あぁ、きれいだ。って素直に思えた。
で、同時に、あぁ、そうかって気がついた。
先の青池に足りなかったのはコレだ。
においと、おと。
あの池では、ただ、見ていただけだった。
鼻と耳、肌の感覚が死んでいたのだ。
そうかそうか、なるほど、だからだ。
妙になっとくした帰り道、でも、だから、
どう改善したらあの青池を多くの観光客に「体感」してもらえるんだろう。
ただ、「見る」のではなくて、「感じて」もらうには…?
自然を観光対象にすることの難しさに頭を悩ますばかり。






                   □□□






 白神山地から川をつたっていったら海に出た


 日本海だ。ちょうど夕陽が沈もうとしていた。



 森と山と、池と川と海を満喫した青森。なんて贅沢な。


数日後には本州を横断して太平洋側の海も眺めた。
太平洋岸を眺めながら南下していく。
女川、松島、湘南、豊橋、瀬戸内海まで。
海を眺めるのことは、とてもとても好きだ。
江ノ島から眺めた海も、静かで穏やかで心地よかった。



 穏やかな海の持つ癒しの力は計り知れない。






                   □□□










最後に。
実は一番感動したのは、自然、は広島のサルスベリの花だったりする。
広島の原爆資料館を、修学旅行以来はじめて訪れた。
あの時とはちがって、きちんと、展示物の文章一文字一文字を追って
ゆっくり時間をかけてめぐった。
呑気な私はすっかり忘れていた、というか気付いていなかった。
広島は「被爆」した土地なのだ、ただ爆弾で焼け野原になっただけでなく
「原子力」の爆弾で、放射能で「汚染」されたことのある土地だということに。
チェルノブイリの原発事故と、はじめて重なった。
終戦直後、広島を調査していた専門家の見解はこうだ。
「向こう50年、広島には草木が生えることはないだろう」
衝撃だった。
重い気持ちで資料館を出て、祈りの部屋に移りで頭をたれた。
一瞬でいろんなものを焼き尽くすだけでなく、その後も生物に影響を残す
強すぎる、怖すぎるものをもう人間は開発してしまったのだという事実。
持たない、作らない、としたって、作ることができちゃう今。
もしかして、わたしがこうのんびりと暮らしている世界は、とてもあやういもので
一瞬にしてすべて壊れてしまうものなんじゃないだろうか。
そして私は、その建物から外に出た。
ふわっと風にまって落ちてきたのは、白いサルスベリの花だった。
見上げると花をたくさんつけたサルスベリの樹が風に揺れていた。
吹雪のように白い花を散らし続けている。


向こう50年草木が生えることはないといわれたこの土地で、
サルスベリは育ち、花を咲かせている。
草は、生えたのだ。樹も育った。花が咲いた。


8月から9月にかけての長い旅、
様々な、たくさんの、美しい自然を目にし、体感してきたけれども
何も考える間も無く目頭が潤んだのは、このサルスベリだけだったような気がする。







20081008

ゴハン/旅の記憶.1

山形、青森、秋田、宮城、岩手、神奈川、愛知にもどって、とんで広島 
長い旅の間、一貫して毎日かかさず行ったことがひとつ。 

ごはんを食べること。 

あたりまえなんだけど、あらためて、ごはんと毎日は切り離せないものなんだなと 
ごはんは基本なんだなぁと、思わずにはいられません。 
とくに、おいしいものが大好きで、味への好奇心が旺盛な私ですから 
旅のごはん写真、ならびにきになるレシピはしっかり押さえてまいりました! 
そんなごはんの記録。 
ちょっと小腹がすいたときにでも、この日記を眺めて楽しんでくだされば幸いです。 

   
                 □□□ 


山形県 遊佐町 あつさん家でいただいた朝ご飯 


衝撃的においしい山菜のお味噌汁!
おいしいおいしいって感動してたら、二日後の朝にまたつくってくれました。
なぜ二日後なのか。
それは、一日じっくり時間をかけないと、この味はだせないからです。
実はこの山菜、春に山で採ってきたものを一夏塩漬けにしていたもの。


使う分だけ取り出して、一日かけてゆっくり自然に塩抜きをする。
その山菜のおいしいことったら!
山菜を、おいしいとおもって食べたことなんて、はじめてだ。
あつさん家 朝のお味噌汁。こちらはかぼちゃ。
山形では味噌汁にたっぷり具をいれるのね。
もりた家のかぼちゃの煮物に匹敵するサイズのかぼちゃがごろごろ。
朝からほこほこ幸せになれます。
味噌汁に大葉を合わせるっていうのも初体験。
なるほどなるほど、うんうん。しきりに感心しながらごはんを食べる。


こちらもあつさん家での朝ご飯
手前の気になる壺にはいっているのは、「醤油の実」
初めて目にするこの食べ物、ごはんに合う合う。
酒かすに醤油を合わせて寝かせておくとできるんだそう。
いつか、酒かすがたっぷり手にはいるときがあったら作り貯めしておきたい。


遊佐町の人が愛してやまない「だだちゃ豆」
ふつうの枝豆とは、もう全然違うんだって、
老いも若きもみんな、だだちゃ豆のことになると熱い熱い。


んで、こちらは、三泊?食のお礼に私がつくった夜ご飯。
愛知県らしく、手羽先と、味噌煮込みうどんと…。
あとは次々とおこるハプニング(?)に対応したり、
作ってる途中で近所のおばちゃんがとどけてくれた採りたて野菜や手作りどぶろくなど
追加食材を使って、それに合う付け合せも一緒につくっていったら、
どんどん品数がふえていってテーブルの上がエライことに。


でもおいしいおいしいって食べてもらえて、ほっと一安心。
味噌煮込みうどんって、遊佐の人には、すごくなじみやすい食べ物みたい。




                 □□□






青森県 白神山地にむかう電車の中でいただいたおにぎり


お昼ごはんのお弁当まで、あつさんにお世話になってしまった。
あつさんの、おいしいおいしい漬物。
酒粕に漬けたことによる自然な甘味が新鮮。
おにぎりの具は、特製の味噌を大葉で包んで揚げたもの。
おにぎり自体は、ワカメと雑魚、生姜の炊き込みご飯。これは私の手作り。
ひとのうちの台所になじんで、ずうずうしくもマイペースにご飯をつくる私…
あつさんが寛大な人でよかったわ。
あれこれお喋りしながら一緒に台所に立つのってすごく楽しいものです。






                 □□□






秋田県 上潟市 おしゃれ農家さんのおうち


料理は材料を集めるところから始まる。
みちるさんと一緒に近所をお散歩。
かわいいおばぁちゃんが手入れしている畑も訪ねる。
こんにちは。はじめまして。愛知県から来ました真子です。
ちょこっとお野菜、いただきます。どうもです。


ごはんにつかうバジルを取りがてら、バジルの手入れ。
伸びてしまった芽や、花を摘む。


集めてきた野菜でさささっと料理をする。
この家の台所には、おしゃれで使いやすいキッチンツールがたくさんある。
どれもお父さんの手作りなんだそうだ。さすがです。

出来上がったパスタ。味付けは塩のみ。
シンプルなのにすごくおいしい。やさしい味がする。
野菜の味が、うまい。そのうえ素材を生かす料理方法。うん、素敵。
こーせいさんの作る野菜で、みちるさんが料理する。いいなぁ。
そんな二人が羨ましくてたまらない。


夜ご飯。
フラワートルティーヤでチリコンカーンやアボガドのソース、
タラモサラダやたっぷりの野菜を巻いていただく。
私は作ったのことのない種類の料理にドキドキする。
メキシコ料理?かな。二日目は沖縄料理を作ってくれた。
どちらも馴染みがなかったけど、おーーーいしーーーー。


で、こちら


畑の野菜たっぷりの朝ごはん。
初めて見る、トマトにかかった緑のふかふかソース。
あたらしい味、あたらしい食感、これ何ですか?すごくおいしいです!
で、教えてもらいました。ここでは内緒にしときます(笑)
やっぱりこれ、食べて、びっくりしてもらいたいもの。種明しは食べた人にだけ。
今ではもりた家の食卓によく登場する定番メニューになりました。
うちの家族にも大好評です。


おいしいジェノベーゼのつくり方(配合?)を教わる。
なんども作り直しては手帳にメモして行き着いた味なんだそう。
私もよく、作ってはメモり、試行錯誤を繰り返す性質なのです。
みちるさんとお料理話をしていると、話が尽きない尽きない。
一日中ずっと喋ってしまいそう。
教えてもらったジェノベーゼは瓶詰めにしてお土産にいただきました。


この時点でのお土産。
日本酒の鳥海ふすま(山形県遊佐町)は秋田で美味しくいただきました。
自家製ピクルス(秋田県みちるさん作)は岩手県こーせいさんのお師匠さん(!)へのお土産にしました。
自家製ジェノベーゼ(秋田県みちるさん作)はもりた家におもちかえり。
水芭蕉の手ぬぐいはよしこさんから。(山形県遊佐町)旅には手ぬぐいでしょ!とのこと。
アクリルたわしは、あつさんのお母さんの手編み。(山形県遊佐町)使い勝手が良い。


朝からきちんと、お味噌汁をつくって、お弁当をつくる。
すてき。




畑仕事へ行くこーせいさんをお見送りして二人でティータイムです。
バナナとくるみのシフォンケーキ。おいしい珈琲。


おみやげにと本をいただきました。鈍行電車の旅には嬉しい差し入れ。
「森の生活」。ほんとにいただいちゃっていいんですか?
同じ本を二人とも持っていたから、家に二冊づつあるのよーーー
って聞いたら、なんだかなんとなく、ほこほこした気分になりまして
ありがたく、遠慮なく、電車旅のお供に連れて行くことにしました。
帰り際、お弁当までいただいちゃいました。
秋田県から宮城県へ。一日かけての移動日のお昼に電車の中でいただきました。
そうめんカボチャの和え物、ゴーヤーチャンプルー、カボチャの煮物、バジルきゅうり。
おいしいつやつやごはんに、大きな焼き鮭のおにぎり。
ほんとにおいしい。ありがとうございます。ご馳走様でした。






                 □□□




宮城県 女川町は漁港の町だ。
8月下旬、北海道沖を泳ぐ秋刀魚の水揚げが始まったばかり。
いよいよ秋刀魚の旬到来。このはじめの時期の秋刀魚はとくにあぶらのノリがよく旨い。
もと漁師だというおっちゃんが秋刀魚の目利きを教えてくれた。
秋刀魚は、こう、身がぴんとしててな、嘴が黄色くて、エラが真っ赤なのがいい。
新鮮な証拠


でも、おじさん、私こんな秋刀魚見たことがないよ、といったら
そりゃそうだとおじさんは笑った。
獲って一日か、せいぜい二日。
新鮮な秋刀魚は刺身でも食べられるのだとか。秋刀魚の刺身だなんて聞いたことがない。
おじさんが捌いてくれた秋刀魚の刺身を食べた。うっまっ


より鮮度が命なのは“ほや”と呼ばれるもの。
その日のうちに食べないと、全然味がわるくなるのだとおじさんは言う。
だから、女川港でとれた同じほやでも、松島や仙台に届くころには不味くなっている。
ほやは癖があるから、食べる人を選ぶというのはそういう理由だ。
女川で食べたほやは、食べやすかった。コリコリした食感がたのしい。
そしてなによりもびっくりしたのはウニ。
私がいままで経験してきた(というほど回数もないが)ウニはいったい何だったんだろう。
この日はじめて、あのウニのにおいはカルキで消毒されたあとの臭いだと知った。


  
                 □□□




ところかわって岩手県花巻市
以前北海道のランドスケープデザインの会社にオープンデスクしていたとき
お世話になった(三日間くらい顔をあわせただけだけど…)すてきなおじさん後藤さん。
北海道から岩手にもどってきていると聞き、急遽寄ってみることに。
突然の訪問にもかかわらず、炭火をおこして迎えてくれた。


後藤さんと炭火はきっても切り離せない。 (のだと、後に広島のひとに聞いた)
しとしと雨ふる庭を横目に、縁側で炭火をおこし、岩魚を焼く。
じくじくあぶらが炭に落ちる音を聞くまでゆっくり待つ。
待つ時間も、おいしい時間だと思う。


で、また、朝ごはんもいただいてきました。
ほんとうになにからなにまで。ありがとうございました。


  
                 □□□




ぐっと南下して神奈川県。江ノ島でたべたのは釜揚げしらす丼


しらす一匹一匹が大きくて食べ応えがあってびっくり。
でも憧れの生しらすは食べられなかったのが残念。いつの日かリベンジしたい。


  
                 □□□




豊橋にもどって。
久しぶりに再会した、かわいい鉄鍋に頬ずりして一緒に海に出かける。
豊橋産のトマトと渥美産のマダカを、秋田でもらったジェノバソースで蒸し焼きに。
秋田の豊橋のコラボレーション。贅沢だ。
視界いっぱいどこまでも続く砂浜で波の音をBGMに晩御飯。




  
                 □□□




そして広島。
広島の人は「広島焼き」というと怒る。「お好み焼き」と呼べという。
広島のお好み焼きが元祖で、大阪のが「関西風お好み焼き」なんだと主張する。
まぁ、そんなこと私にとってはどっちでもいい。おいしいければいい。
ところで、広島では「お好み焼きの正しい食べ方」があるらしい。
さぁ、三つのうち、正しい食べ方はどれでしょう?




さて、こちらは泊めていただいた橋本さんちでの朝ごはん。
お父さんが釣って煮付けたというメバルが半端なくおいしい。
弟子入りしたいくらいだ。
この魚に私が、冷蔵庫にのこっているもので、一品つけたすことになった。
初めての人の家での台所で、あるもので(わけぎと豆腐と薩摩揚げと小海老)
味の好みも知らないはほぼ初対面の人に料理を作る
なんてプレッシャーだろう。えーっとえーっと、万人する味で…
こんなにどきどき緊張してごはんをつくったことってないかもしれない。


その日の夜ご飯は建築家の林さん夫婦のもとで。
屋上で月を眺めながら手料理を肴に乾杯!
韓国風のぴりっと辛い肉じゃがは、ぜひまねっこしたい味。
トマトとバジルのソースで食べるチキン、
たっぷりの大根おろしと一緒に食べる揚げだし秋刀魚。
どれもこれも最高においしくて感動した。




  
                 □□□








旅をすると、新しい味や新しい食材と出会えるだけでなく、
新たな料理法も身について、帰宅後の食生活が豊かになるから素敵よね。


そのためには、お店で名物りょうりを頼むだけじゃなく、
地元にながく住んでいるおじちゃんやおばちゃんの家の台所でご飯を食べることをススメます。
迷惑きわまりない!?でも、料理好きの人だったら、かわりに一食つくることでお礼ができることも!
一緒に料理して自分の家の味やらテクニック(!?)を交換し合うのも楽しい。
相手によることなので、なによりも肝心なのは
ま、料理が好きで、人好きないい人を嗅ぎ分けて探し出すことでしょうか。


とにかく素敵においしい旅でした。
各地でおいしいものを食べさせてくれた皆様に感謝!


将来、私はどこに住むかわからないが、
うちのちかくに、ご旅行の際は、どこかの店でごはんを食べるのもいいけど
私のうちの台所にもお立ち寄りください。
おもてなしいたします。