20081106

乳岩、鬼岩、明神山/変わるもの、変わらないもの





オバマ候補が次期アメリカ大統領に決まった。 
アメリカは変わるんだろな。なんか大っきい風が吹いとる。 
歴史の動いた日 

私は高校山岳部の友人Sと 
お互い変わらんねーーーと言いながら 一日山籠り。 
高校生の頃、毎月一度(一泊二日)の山登り、以外にもSとは 
沢登りや岩登り、桜や梅に石楠花のお花見、あとは短い映画づくり(!?)にと 
足繁に通い詰めた、懐かしい、私たちの庭、奥三河へ。 
大好きな乳岩峡、鬼岩、明神山へ。 

でっかい鬼岩を見上げながら、パンをもぐもぐ。 
ものすっごいオーバーハングしとる岩肌の隙間にいると 
どっちが上でどこが水平なのか、よく分からんくなる。 
16歳だった私たちが初めて鬼岩を訪ねてから、もう…8年、 
Sは看護師になりきちんと自立した大人の女になり 
私は、まー相変わらずふわふわしとるけどとりあえず24になった。 
誰がアメリカ大統領に選ばれようと、時代がどんなに変わろうとも、 
岩は、変わらない。ずっとそこにある。 
いったい何時から此処にこうして佇んでいるんだろう。 



ごはん食べつつ、変わるもの変わらないものについてアレコレ話していたら 
シゲシゲと岩を見上げていた30歳半ばくらいの男の人に声をかけられた 
「岩、登るんですか?」と。 
聞けばその人、ここ10年のブランクを経てのカムバック。 
昔はよく鬼岩に登っていたのだそうだ。 
もう一度はじめたいと思い、 
とりあえずクライミングシューズだけ持って様子見にきたのだそう。 
だれか登ってる人いるだろうから、混ぜてもらって、一緒に登ろうかなと。 
来たら、誰も登ってないじゃないかと。 
あはは。一緒だー。 
クライミングシューズはとりあえず持っとるけど。 
私も友人も、ここにくると必ず誰かが登っているハズと、信じ込んできていたので 
(事実私たちがここに来ると必ず誰かが岩にへばりついていた) 
誰もいないことに、ひどくガッカリしていたところだった。 
で、とりあえず、ご飯を食べていたのだ。 

そのおにぃさん、自分がどこをどう登っていたか、思い出せないなーと 
ぽそっと呟きながら岩を眺めてた。 
おにぃさんの10年前、つまり今の私たちの年。 
10年後、私達がどうなってるかさっぱり予想できんけど 
鬼岩はあいかわらずここにあるんだろうな。 
「無理は禁物。岩を見ただけで、元気になれたから良し。また出直そう。」 
と帰るおにぃさんに別れを告げて、 
私たちは、とろとろ少しだけトレッキングすることにした。 
明神山は標高にするとたったの1000mちょいだけど、 
とっても険しいの。 
「胸突き八丁」なんて、いかにもな名前の急な登りがあって、 
でっかい馬の背岩とか、鎖場もあって、楽しいの。 
楽しいの。 
楽し…し…しんどいね。 
怠けた体にはキツカッタ。 

10年後にまたここを訪ねたとしたら、 
岩も山も変わらなくとも、 
自分の体力は変わってるんだろう。 
変わらないでいるって、大変なことだな…と、 
今更ながらにQUATROの先輩の言葉を思い出していた。