2011年1月1日
朝、
テントの内側の膜がぼんやり白く輝き始める頃目が覚めて
時計がなかったからそれが何時だかわからいんだけど
夏だというのに、ひんやり肌寒くて、それでなんとなく
早い時間に自分が起きれたんだなーと時間を予想して。
テントからよじよじと這い出て深呼吸。
樹高20mを超すだろうと思われる
大きなユーカリの森の底に座り
あさごはん。
こぽこぽわかしたお湯でスープを
それから、
サンドライトマトのバジル漬けと
スモークサーモンのディップをライ麦のラップに包んで
簡単な、だけどおいしいごはん。
食後にあったかい珈琲を飲みながら
木々の間からのぞくキラキラ輝く青いみなもを遠くに見下ろす。
たぶん今日は暑くなるんだろうなーとなんとなく思い
ボトルに水をたっぷりそそいで、リュックサックに投げ込み
スケッチブックに、筆、水彩と墨、
アーモンドとピスタチオ、ドライクランベリーとホワイトチョコレートと
ニコンのカメラさんに、替えのフィルムもって
それだけを持って、テントはそのままに、身軽になってでかけた。
森をでて、目指すのは海。
ユーカリの森からぬけだして
丘をくだり
牧草地をよこぎって
強くなってきた日射しを遮るもののない草っぱらをずんずん歩き
小さな池の横を通り抜け
小さくまぁるく分厚い葉っぱを持った、背のひくい木々の森にはいり
ゆったりとした流れの小さな川にかかる浮き橋をわたって
木々の間の小道の土が砂に変わり心がおどり
近づく波の音を聞きながら、よいしょよいしょと坂をのぼって
木々の背がいよいよ私の背より低くなり
ふっと空がひらけたとおもったら
さぁっと蒼がひろがって
ふわっと身体全体が風をうけ
すぅっと心がひらく感じがして
一直線に波打ち際に行き
透き通る水に手を浸し
なんだか自分の身体まで透き通っていく様な気がして
靴を脱いで海に入りそのまましばらくゆっくりとあるく
しぜんと、何に対してだか分からない祈りをささげたくなり
なんだか胸がいっぱいになる。
私の場合、
いまのところ、
神社にでかけてお参りをするより
一人で海に対峙する時のほうが
神聖な…というかなんというか、厳かなきもちになる。
ざぶんと潜って少し泳いだところで
ぷかっと水面に浮かびあがる。
一人で沖にでたら危ないので遠くにはいかない。
タスマニアにはサメがいる。
ぷかぷかと水に浮かび、ぽっかりと空と向き合う。
だんだん自分が溶けていく。
私は私なのか、私は海なのか、私は空なのか。
海からあがって
乾いた砂の、さらさらの心地よいなかへ、あしをつっこむようにして座り
スケッチブックをひらく。
最近ではスケッチをするという行為それ自体が
メディテーションのような働きをする。そんな気がする。
さっき身体で感じていた海を、こんどは目でとらえて、紙の上にうつす。
すごくきもちがよくて、しずかで、ここちいい時間。
数枚スケッチを描き終えたところで、人がやってきた。
ハッピーニューイヤーーと見知らぬひとと言葉を交わして
ふっと、現実世界にもどってきたような不思議な感覚を覚えた。
じゃぁ私は今までどこにいたんだっていう…。
こういう不思議な感覚って、時々あるよね。
小ちゃいときとか、なんかこういうのすごくコワかったけど
意外といろんなひとがこの感じ経験してるらしいことを後に知って
あぁなんだ、ふつうのことか、と思ってからはコワくなくなった。
その後もずーっと私は海辺にいて
知らない人。知ってる人。けっこうよく知ってる人。
来る人来る人と、たわいない言葉を交わしたり
あるいは一緒に水際を歩いて、けっこうディープな話しをさらっとしちゃったり
サイダーとビスケットをもらったり
それを一緒に食べながら、たわいないお喋りをしたり
オーストラリア人
フランス人
カナダ人
スペイン人
ドイツ人
そして日本人
国際色豊かなお喋り。
楽しい。
その日に私の描いた海のスケッチを今数えてみたら計7枚だった。
なんだか縁起がよさそうで嬉しい。
そんなゆったりとした時間を海辺ですごしたのち、
陽が傾きはじめ、おなかがすくころに
牧草地にはられた白い巨大なテントに向かって
海辺にいたひとたちと一緒に歩き出した。
どこかからか現れた人々が四方八方からうじゃうじゃと
白い巨大なテントにむかいそうしてテント下に吸い込まれていくのが見える。
ありんこみたいだ。
ビーチから草原へでると、
一日中強い日射しで熱せられた大地からむわっっと熱気があがるのを感じ
額に汗が浮かびはじめた。
夜。
日が沈むと一気に冷え込むここタスマニアの夏
だけど巨大テントの中はあつい。
おいしいごはん。
たくさんのひと。
たくさんのおさけ。
音楽。
ダンス。
ショー。
いろーーんな国出身のひとがみんな、
いっしょにごはんたべて(食べるものはちがったりするけど)
飲んで(飲まない人もいるけど)
酔っぱらって、ふわふわして
飲まない人は雰囲気に寄って
音楽にあわせて、てきとーーにおどる。
ちょっとしたことにみんなで大爆笑する。
ものすごく楽しい
1月1日の夜は
The Fallsというタスマニア最大の野外フェス&年越しイベントの
スタッフお疲れさまパーティー
そうなんです
なにを隠そう この私
この野外フェスのスタッフとして働いてきました!
The Falls
Music&Art Festival
http://www.fallsfestival.com.au/
インターネットを通してのスタッフ申し込みで
なかなか連絡もこなくて、だからダメかなーとも思ってて
それでも連絡が来たらいつでも向かって働けるようにとテントなどの準備をし
ダメならダメで一人旅をしよーーと気軽にかまえていたんです。
ギリギリで連絡があり
一人旅二日目の28日に
筋肉質なオージー男、金髪ドレッド、なのにひらひらのスカートを履いてる…
めっちゃくちゃ陽気でよく喋る…でもどーかんがえてもスカートを履いてる男と
自転車でひとり旅中という、ほっそりとしたドイツ人
肩につくくらいの金髪に無精髭、もの静かでかっこいい
の二人に拾われて
フェス会場へ。
ちなみに迎えにいくと言われた時間の一時間半後に迎えに来てくれた。
一時間半わたし、待ちぼうけ。
さすがオーストラリア、ゆったりとしている…。
そうして、じぶんが、どんなふうに、どう働くのかよく分からないまま会場入り。
一緒にスタッフとして働く人のなかには、キャラの濃い不思議な人がいっぱい。
ふわふわショートにめがねで、雰囲気が芸工のときちゃんのような
北欧、エストルニア
(どこの国だか私よくわからなくてなんども出身国ききなおしちゃった)
出身の女の子の旅人(一年半も旅をしている)や
長いひげを二本の三つ編みにして、つけ耳としっぽがある、まるで漫画のワンピースのキャラクターのような格好の、カナダ人のおじさん
ものすっごく元気でよく日に焼けた、なんだか色っぽいフランス人のおねぇさんや
ギャルギャルした感じのオージーの女子高生の女の子に
仕事できます、しきります、な雰囲気がでてる姉御っぽいひとから
うっしゃっしゃっていう感じで笑う無精髭のおじさんに
大学の友達同士できてるっていうメインランドから来た医学部の女子大生達
裸足でふわふわ一人ひとつ楽器を持ってあるいてるドレッド頭のヒッピー集団
そして
あれ?
ジャレッドのママ!?
どーーーしてここに!!!!
「真子!どうしてここにいるの!?え?スタッフなの?私もスタッフなのよ!?」
とジャレッドママ。
びっくり。
好きなとこにてきとーにテントはって寝床ととのえたら
午後五時にはじまるという全スタッフミーティングに参加するよういわれ
真面目に五時十分前についたんだけど
六時過ぎてもミィーテングがはじまらない。
となりにいたジャレッドママが
「こんなに計画性がなくて人を待たせる何て!!」と
イベントのマネージャーに文句言いにいってたんだけど
効果はなさそう。
そんなゆったりとしたイベント。
スタッフとして働いて…
とはいっても一人一日4時間だけの当番制で
他の20時間はスタッフもフェスを楽しもうねーっていうしくみなので
ゆったりと自分の時間を楽しめました。
初対面のスタッフメンバーがおもしろい変な人達ばっかりで
働いてる時間も楽しかったし。
ばんごはんも支給され、そのときシフトにはいってないひとみんなで晩ご飯。
28日、29日、30日、31日と4日も顔を合わせてれば、メンバーへの愛着もわく。
そんなフェススタッフ仲間(ジャレッドママ含む!)と一緒に
野外フェス会場にて年越し。
音楽のことはさっぱり分からずだけど、オージーに人気なバンドが来てるらしく
大盛り上がりの会場で、私の知らないアーティストの新年カウントダウン!
その一日後、一般のお客さんの帰った、1日の夜に
スタッフのみんなのお疲れさまパーティー
このスタッフパーティーがほんと楽しかったんだー
というわけで
私の2011年は
一人で静かに、祈りを捧げるような時間をすごしたあと
いろんな国出身のおもしろいスタッフメンバーと飲んで酔って踊っての大騒ぎ
で幕を開けました。
なんだかきもちいいのです
いいスタートです
2011年
もっと深く深く
もっと大胆に、そしてワガママに
繊細さと強さをもって豪快にすすんでいこう
Life is beautiful, if you know how to live.
人生を楽しもうっと!いひひな気分です
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